印鑑の種類とそれぞれの役割-意外と知らないハンコの世界

プロフィール

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ゆーた

印鑑業界で働いています。 趣味は自転車。いつかフランスを愛車で走りたい!

日本の文化に深く根付いている「印鑑」。銀行口座の開設やクレジットカード作成時、アルバイトや就活の際の履歴書、婚姻届、単に確認用のサインまで、あらゆる事象に印鑑が絡んでいます。

この日本で生活する上で印鑑を切り離すことはできません。

それほど、私たちの生活に密接に絡むハンコですが、「印鑑とはんこの違い」、「実印・銀行印・認印の定義」、「シャチハタとは?」「三文判とは?」など、意外とハンコについて詳しく知らない人が多いのではないでしょうか?

今回はそんな印鑑について改めて一緒に学んでみたいと思います。

印鑑とは?はんことの違い

まず、そもそも「印鑑」とは、正確には何のことを指すのかについて確認しておきましょう。

「印鑑」とは、実はみなさんが想像している棒状のものを指す言葉ではありません。

印鑑とは、実印や銀行印などの登録した印章の「印影」のことを指す言葉で、物体としての「はんこ」のことではありません。 実印を登録することを「印鑑登録」というのは 役所に実印用のはんこの印影を登録するからだったんですね。

今では一般的になっている「印鑑」という言葉が実は別の意味だったというのはビックリです。 これからは、印鑑とはんこの違いをしっかり意識して使い分けてみるといいかもしれませんね。

このページでは、わかりやすいように一般的となっている「印鑑」で説明していきます。

印鑑の種類とそれぞれの役割・特徴

印鑑という言葉でまとめてしまいがちですが、実は印鑑はその役割ごとにいくつかの種類に分類できます。

実印

実印とは、自分が住民登録をしている市役所や区役所、町村役場に、戸籍上の姓名(住民票に記載されている名前)が彫刻された印章(はんこ)を印鑑登録した後、受理された印鑑のことを指します。

実印は、1人につき1本までしか登録することができないため、たとえ家族であってもそれぞれ別々の印鑑で実印登録しなければなりません。

実印用に購入した印鑑も役所で印鑑登録を済ませるまではただのハンコですので、必ず印鑑登録を済ませるところまでやっておきましょう。

実印は、車の購入や不動産取引、公正証書の作成など、重要な契約や大きなお金が絡む契約などの場面に使用することが多い印鑑です。重要な印鑑ですので、専用の印鑑を作成しましょう。

銀行印

銀行印とは、その名の通り銀行口座を開設するときに使用する届出印のことを指し、銀行届出印とも呼ばれます。

1本のハンコで複数の銀行口座開設ができますが、リスクを回避するために各銀行口座ごとに印鑑を用意するのがおすすめです。

銀行口座からの自動引き落とし・口座自動振替の契約や、銀行預金、郵便預金などの用途に使用します。

認印

認印は、実印や銀行印とは異なり、どこにも登録する必要がないものの、その取扱には十分注意しなければなりません。

荷物の受け取りや職場などで確認のサインとしてよく使われる認印ですが、重要書類に捺印すると「実印」と同等の効力が発生してしまうこともある印鑑です。

認印だからといって気軽に押印せず、きちんと内容等を確認して押印するようにしましょう。

訂正印

訂正印は、契約書などに記した文字や文言を訂正(書き直し、加筆、削除)したことを証明するために押印する印鑑です。

契約書などで署名・捺印している場合、使用した印鑑を訂正印として使用します。

社印(角印)

社印は、一般的に「〇〇株式会社之印」という名前で作成する会社印鑑の中で認印として扱われる印鑑です。

請求書や領収書などのような会社の外に向けて発行する書面の社名に重ねるようにして捺印します。

代表者印(会社実印)

代表者印は、会社における実印の役割を果たす印鑑です。会社設立時や代表取締役変更時など、法務局で登記する際に必要になります。

印面は二重丸の内側(内枠)と外側(外枠)で彫刻する内容が異なり、外枠には会社名、内枠には役職名を彫ります。

法人銀行印

法人銀行印は、会社における銀行印で基本的な役割は個人の銀行印と変わりませんが、会社の資産を管理する印鑑ですので、その取扱には十分に注意が必要です。

代表者印と同様に、印面は外枠と内枠に分かれ、外枠に会社名、内枠に「銀行之印」と彫刻して作成します。

割印

割印は、2つ以上の独立した書類が関連していることを証明するために、それぞれの書類にまたがるようにして押印する印鑑のことです。

例えば、同じ契約書を2部作成したときに割印を押しておくことによって、2つの契約書が同時に作成された同じ契約書であるということを証明することができます。

よく聞くシャチハタとは?

印鑑を持参するように言われたとき、よく「シャチハタ以外の印鑑を持ってきて」と言われることがあります。また、はんこを押印する書類に「シャチハタ不可」を記載されている場合もありますよね。

あなたが手元に持っている印鑑がシャチハタかどうか見分けるためには、そもそも、シャチハタとはどういう印鑑のことを言うのか知っておく必要があります。

シャチハタとは、朱肉を使わずに押印することができるインク浸透印のことを指します。朱肉を使わずにポンポンと気軽に押すことができるので、荷物の受け取りサインなど認印としての使用にも重宝されます。

シャチハタとその他の印鑑と違いは、朱肉を使用するかどうかだけでなく、印面の素材にもあります。シャチハタはインク浸透印という特性上、印面が特殊なゴムで作られています。

この「印面がゴム」という性質のためにシャチハタを使用できない場面が出てくるのです。

印鑑はその本人が書類の内容に同意したこと、または内容を確認したことを証明するために押印します。あとから印影を照合したときに同じ印影の印鑑であれば、整合性が取れるわけです。

しかし、シャチハタの印面はゴムでできているので、劣化により形状が変化してしまうことがあります。そのため、シャチハタでは、本来の印鑑としての役割を果たすことができないのです。

この理由から、実印や銀行印としてもシャチハタを登録することはできませんので注意してください。

ちなみに、インク浸透印を世の中に広めた会社の名前が「シヤチハタ株式会社」だったことから、シヤチハタ製以外のインク浸透印もシャチハタと呼ぶことが多くなっています。

三文判とはどんな印鑑のこと?

三文判とは、機械で大量生産された安価な既成の印鑑のことを指します。100円ショップや文房具店、ホームセンターなどで縦長の回転ケースに入った印鑑を見かけたことがあるのではないでしょうか?最近では、はんこの自動販売機などもありますね。

数百円程度の安い値段で購入することができるため、急遽、印鑑が必要になった際などには非常に重宝する印鑑ですが、実印や銀行印などの登録印には不向きです。

三文判は、大量生産するためにその製造工程を機械で行っています。そのため、出来上がった印鑑は同じ苗字であれば全く同じ印影である可能性が非常に高いです。

先述したように、実印は1人につき1本しか登録できない重要な印鑑であり、銀行印もあなたの資産を管理する大切な印鑑ですので、同じ印影が存在する印鑑を使用するのは詐欺やなりすましなどの危険があります。

どうしても急いで印鑑が必要であれば三文判で登録しても仕方ありませんが、あくまで一時的なものとして使用し、その後、必ず専用に作成した印鑑で登録し直すようにしてください。

印鑑を作成するときの注意点

最後に、これから印鑑を作成される方のために、これさえ気をつければ失敗しないという注意点をご紹介します。印鑑を作るときに気をつけるポイントは以下の4つ。

  • 書体
  • 名前
  • サイズ
  • 素材

書体

荷物の受け取りなどの確認のサインとして使用する印鑑は、読みやすい書体で作成するのが一般的です。しかし、実印や銀行印などの重要な印鑑はなるべく読みにくい(可読性の低い)書体で作成するようにしましょう。

これは、偽造や複製のリスクをなるべく低くするため。おすすめの書体は、印相体(吉相体)や篆書体です。

認印は、確認のサインに使用することもあるので、誰がサインしたかわかりやすいように古印体などの可読性の高い書体で作成されることが多いです。

名前

実印や銀行印の印影は複雑になった方がいいので、名前はフルネームがおすすめです。彫刻する文字数が多くなるほど印面の複雑さは増します。

ただし、女性の場合は結婚を機に苗字が変わることがあるので、名前だけで作成すると印鑑を作り直す手間がなくなり便利です。

一方、認印の場合は、印面が小さいこともあり、苗字か名前の一方でしか作成できないことがほとんどですので、苗字で作成しておきましょう。

サイズ

個人実印や代表者印として登録(登記)できる印鑑には、サイズの規定があります。

個人実印は「1辺が8mmの正方形に収まらず、25mmの正方形に収まる」大きさでなければなりません。個人実印用の印鑑として一般的なサイズは、男性なら15.0mm~18.0mm、女性なら13.5mm~16.5mmのサイズです。

銀行印や認印を作成する際には、この実印の大きさを基準として「認印<銀行印<実印」というサイズ差になるように作成するのが一般的であり、印鑑を区別する際にも都合がいいです。

一方、代表者印は「1辺が10mmの正方形に収まらず、30mmの正方形に収まる」大きさである必要があります。印鑑専門店では代表者印用の印鑑として「16.5mm」「18.0mm」「21.0mm」「24.0mm」の印鑑を用意していることが多いですが、一般的なサイズは「18.0mm」と「21.0mm」の印鑑です。

会社印鑑の場合も代表者印の大きさを基準として法人銀行印や社印のサイズを決定します。「法人銀行印<代表者印<社印」というサイズで各印鑑を作成するのが一般的で、多くの印鑑専門店ではこのサイズ差になるように「会社印鑑セット」を用意して販売してあります。

個人の場合も法人の場合も、まとめて印鑑を作成すると安い値段で購入することができるので、これから印鑑を揃えるという方は、セットで印鑑を作成・購入するのがおすすめです。

素材

実印や銀行印の作成には、なるべく耐久性の高い素材を使用しましょう。印面が欠けてしまったり、破損すると印影が再現できなくなるため、新しい印鑑を作成し直して再登録する必要が出てきます。

そのため、一度作成したら一生ものになる実印や銀行印には強度が高い印材が相応しいのです。

耐久性の高い素材ならチタン印鑑がおすすめ。金属素材で耐久性が高く、捺印性にも優れています。値段も高いですが、一生ものの実印には最も相応しい印材と言えます。

もし、値段がネックという方は、黒水牛や牛角(オランダ水牛)、彩樺なども耐久性が高くおすすめです。

社印も含めて、認印は最も捺印回数の多い印鑑です。登録印ではないので破損したり、摩耗したりしても新しく買い換えれば問題ありませんが、もう一度作成するのも面倒。やはり、耐久性の高い素材を選んで作成しておくのが間違いありません。

印鑑の作成はネット通販がおすすめ

印鑑は店舗に行って購入するイメージもあるかもしれませんが、今は実印もネットで購入するのが一般的になりつつあります。

通販サイトは品揃え豊富で店頭価格よりも割引して販売されていることがほとんど。お得な値段で印鑑を購入することができます。

また、忙しくて日中にお店に行って印鑑を注文する余裕がないという方にとってもネット通販はおすすめ。通販サイトなら24時間いつでも注文可能なうえ、条件を満たせば即日発送、翌日には手元に届くということも可能です。

通販サイトでの購入は危険な感じもしますが、実績のある印鑑専門の通販サイトで注文すれば問題ありません。

人気の印鑑通販ショップ一覧とおすすめポイントの比較ランキング」というページのように、人気の印鑑通販サイトを様々なポイントで比較したランキングを掲載しているサイトもあるので、どこで印鑑を購入するのが自分にとって1番お得か簡単に知りたいという方はチェックしてみると良いでしょう。